麻雀界の“異端児”が令和の虎に挑む
「三人麻雀(通称:サンマ)を、日本中に認知される競技に昇華させたい。」
そう語るのは、志願者・高田将広。彼が登壇したのは、令和の虎 第337回目の配信。競技麻雀の中でも、メディア露出が極端に少ない「サンマ」に特化し、プロリーグ化・Mリーグ化を目指すという壮大なビジョンを掲げて虎たちに挑んだ。
一般的に知られている四人打ち麻雀(ヨンマ)とは違い、サンマはルールもスピード感も独特で、関西圏を中心に根強いファンを持つジャンルだ。しかし、その熱量にも関わらず、大会やメディア展開、スポンサー戦略といった体制は未整備に等しい。
高田はそんな麻雀界の“日陰のスター”に光を当て、eスポーツ時代の競技として再構築しようとしている。だが、虎たちの表情は硬く、プロジェクトの現実性や収益性に疑問を呈する空気が漂っていた。
「サンマの魅力」を全国に発信する意義とは
高田がまず力説したのは、「三人麻雀」というフォーマットの独自性と魅力である。
テンポの早さ、攻撃的なプレイスタイル、そして役満の出やすさ。視聴者にとって“魅せる麻雀”であり、選手にとっても“勝負の読み合い”がより研ぎ澄まされる舞台になるのがサンマだという。
関西では特に人気が高く、ゲームアプリでも一部では四人麻雀を凌ぐ利用者数を記録しているというデータを引き合いに出し、「ユーザーの潜在需要は確実にある」と強調した。
さらに、「サンマには、ヨンマにはない圧倒的なエンタメ性がある」と高田は続ける。麻雀という知的競技に、短時間での逆転劇や豪快な打ち筋といったドラマ性をプラスできるサンマは、動画映え・配信映えにも適しており、時代に即した競技構造になりうるとの見解だ。
Mリーグに続け!三人麻雀のプロリーグ構想
志願内容の核心は、三人麻雀を中心としたプロ麻雀リーグの立ち上げと確立である。
高田は、Mリーグのようにスポンサー企業がチームを保有し、リーグ戦を通じて選手が安定収入を得られる構造をサンマでも構築しようとしている。
リーグ名やスケジュール、放映プラットフォームの仮案も提示。すでに麻雀系YouTuberやプロ雀士とのコネクションがあることから、一定の選手・運営スタッフ・ファン層を初期段階から確保できる見込みだと語った。
虎たちはこの構想に一定の理解を示しながらも、「Mリーグの二番煎じにならないのか?」「市場規模として本当に持続可能なのか?」と厳しい指摘を繰り返す。
とりわけ注目されたのは、高田の「スポンサー獲得計画」である。初年度に必要な運営資金、映像制作費、選手報酬、そして会場レンタル費などの詳細を明示し、クラウドファンディングや法人スポンサーの獲得を想定していると説明。
しかし、虎たちの反応は芳しくなく、収益モデルの現実性について深い疑念が浮かび上がる展開となった。
情熱と経験値のギャップ、虎たちの視点
高田は、かつて関西で雀荘を経営していた実績があり、麻雀業界の現場を知るプレイヤーである。しかし、「リーグ運営」というエンタメ・ビジネスの分野ではまだ経験が浅く、資金調達やメディア戦略において課題が山積している印象を与えた。
特にある虎は、「思いはすごく伝わるけど、あまりにも準備不足。気持ちだけで勝てるビジネスじゃない」と指摘。マーケット分析の甘さ、数字の根拠の乏しさ、そして他競技リーグとの比較における“差別化要素の弱さ”を突いた。
一方で、「応援したくなる熱量はある」「着眼点はユニーク」と一定のポジティブ評価も出始める。麻雀をただの娯楽から“競技”へ昇華させる動きは、今や社会的にも支持され始めており、その文脈において三人麻雀が大きな役割を果たす可能性は否定できない。
前例なき挑戦に、虎たちの判断はどう動くのか
前編では、高田将広の“サンマ版Mリーグ”構想が熱く語られた。視聴者を惹きつけるエンタメ性、選手を支えるプロ構造、麻雀界全体への波及効果といった観点からは魅力的なビジョンである。
しかしながら、虎たちが最も懸念しているのは「収益性」と「実現可能性」だ。志願者の情熱とアイデアは評価されつつも、資金の出口戦略や継続可能なビジネス設計に対して厳しい目が向けられたのが事実である。
後編では、高田がどのように反論し、虎たちの心を動かすのか?
果たして「三人麻雀リーグ」は実現に向けて一歩踏み出せるのか――次回に注目したい。
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