17歳、高校2年生。若さと情熱で教育の未来に挑戦する渡邊翔太朗が「令和の虎」に登場した。前編では、彼が掲げる「探究学習SNS」というビジョンに虎たちが真剣な眼差しを向けた。後編ではその熱意が本物か、事業として成り立つかどうかを問う、虎たちの本格的な審査が始まる。
虎のひとりは「俺は厳しくいくよ」と宣言し、若き志願者の覚悟と計画を徹底的に見定めにかかる。教育とビジネス、その狭間で揺れる渡邊の挑戦の行方とは。
資金使途の具体性と、虎からの容赦ない質問
後編冒頭で、渡邊は希望金額と資金使途について詳細に説明する。希望金額は200万円。その内訳は、SNSアプリの開発費、UIデザイン費、サーバー費用、そしてプロモーション活動に使うと明示した。
だが虎たちはすぐに鋭く切り込む。「その金額で本当にアプリは完成するのか?」「データベース設計、セキュリティ、継続的な運用まで見据えているのか?」
さらに別の虎は、「プロダクトよりも“コミュニティの質”がSNSでは重要だ。どうやって文化をつくるつもりなんだ?」と追及。
渡邊は「最初はクローズドなテストユーザーコミュニティからスタートし、安心感と信頼を構築する」「学校単位で導入し、生徒が主体的に投稿できる雰囲気をつくる」と答えるも、その回答にはやや経験不足がにじみ出た。
高校生だからこその武器と、見透かされる甘さ
虎の一人は「君が高校生だからこそ応援したくなる。でも、だからこそ“子どもの夢”では終わらせたくない」と語気を強めた。年齢ゆえの応援と、年齢ゆえの責任の両方を求める姿勢だ。
渡邊は「自分はまだ未熟かもしれないが、このプロジェクトに対する覚悟は本物だ」と主張。「失敗を恐れず、実行と改善を繰り返すことで、必ず形にする」と力強く語った。
ただ、虎たちは“熱意だけでは投資しない”という姿勢を崩さない。「SNS事業は資金と人材、継続的な開発が命。それを高校生が回していくには、相応のパートナーが必要だ」と現実的な助言も飛ぶ。
渡邊は「すでに信頼できるエンジニアの知人と連携しており、最低限の開発は進められる」と答えるが、「本当に信頼できるのか?」という問いには答えに詰まる場面も。
最終判断へ。若き挑戦者に下された評価とは
プレゼンの終盤、虎たちは投資の可否を最終的に判断する時間に入る。ここで渡邊が語ったのは、「このサービスは、探究に向き合う全ての生徒に“つながり”と“勇気”を与えるためのものだ」という理念だった。
そして「金額の大小よりも、自分の挑戦を応援してくれる虎に出会いたい」と本音を漏らす。虎たちはその真摯な思いを受け止めながらも、「思い」と「実現性」のギャップを慎重に見極める。
ある虎は「事業としての完成度はまだまだ。でも君の姿勢に共感した」と出資を申し出た。一方で、「この場は教育の場ではない。事業として投資できるレベルにはない」と厳しい言葉を投げかける虎もいた。
結果として、全額希望には届かないが、部分出資という形で支援を申し出た虎が現れる。高校生の挑戦としては異例の結果だ。
17歳の挑戦に込められた“これからの教育”の可能性
渡邊翔太朗の提案した「探究SNS」は、教育とテクノロジーを融合させた挑戦であり、今まさに求められている“生徒主体の学び”を支援する革新的なアイデアであった。
虎たちは、その志の高さと熱意に敬意を示しつつも、ビジネスとしての甘さを見逃さなかった。だが、彼の真摯な姿勢と継続意欲は、今後の成長を大きく期待させるものであった。
出資の可否以上に、今回のプレゼンは教育界における大きな問題提起となった。「探究とは何か」「生徒が学びを楽しめる社会とは何か」──渡邊の挑戦は、まだ始まったばかりである。
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