東京・中野区で盆栽ショップ「ZEN BONSAI」を経営する西岡悠太さんは、盆栽の魅力を世界に広めるために、SNSを活用した情報発信やワークショップの開催、商品ラインの多様化など、積極的なプロモーション活動を行っている。彼の目標は、日本の伝統文化である盆栽を、若者や外国人観光客にも親しみやすい形で提供し、世界中にその魅力を伝えることだ。
プレゼンテーションの開始
西岡さんは、壇上に立ち、深呼吸を一つしてから口を開いた。
「皆さん、こんにちは。私は西岡悠太と申します。東京・中野区で盆栽ショップ『ZEN BONSAI』を経営しています。本日は、日本の伝統文化である盆栽を世界に広めるための戦略をご提案させていただきます。」
彼はスライドを一枚めくり、盆栽の美しい写真を映し出した。
「ご覧いただいているのは、当店で取り扱っている盆栽の一部です。これらは、すべて職人の手によって丹精込めて育てられたものです。しかし、これらの美しさが十分に伝わっていないのが現状です。
「そこで、私たちはSNSを活用して、盆栽の魅力を発信しています。InstagramやYouTubeを通じて、盆栽の手入れや成長過程を紹介し、多くのフォロワーを獲得しています。また、ワークショップを開催し、実際に盆栽を作る体験を提供することで、参加者にその魅力を直接感じてもらっています。
「さらに、商品ラインを多様化し、ミニ盆栽やデザイン盆栽など、手軽に楽しめる商品を取り揃えています。これにより、若者や外国人観光客にも親しみやすい形で盆栽を提供しています。
「これらの活動を通じて、盆栽の魅力を世界に広め、伝統文化の継承と新たな価値の創造を目指しています。」
虎たちの反応
西岡さんのプレゼンテーションが終わると、虎たちからの質問が飛び交った。
細井龍:「SNSを活用した情報発信は素晴らしいと思う。しかし、どのようにしてフォロワーを増やし、集客につなげているのか?」
西岡さんは即座に答えた。
「私たちは、定期的に盆栽の手入れや成長過程を投稿しています。また、ハッシュタグを活用し、関連するキーワードで検索されるようにしています。さらに、フォロワーとのコミュニケーションを大切にし、信頼関係を築いています。
稲葉信:「ワークショップの開催は良いアイデアだ。しかし、どのようにして集客し、参加者をリピーターにするのか?」
西岡さんは考え込みながら答えた。
「私たちは、参加者に対してフォローアップを行い、次回のワークショップの案内をしています。また、参加者同士の交流の場を提供し、コミュニティを形成しています。これにより、リピーターを増やしています。
桑田龍征:「商品ラインの多様化は良い方向性だ。しかし、どのようにして価格帯を設定し、利益を確保しているのか?」
西岡さんは自信を持って答えた。
「私たちは、原価を抑えるために、直接仕入れを行っています。また、商品の価格帯を幅広く設定し、ターゲット層に合わせた価格戦略を取っています。これにより、利益を確保しています。
トモハッピー:「伝統文化を現代にどう活かすかが重要だと思う。具体的にどのような取り組みをしているのか?」
西岡さんは熱意を込めて答えた。
「私たちは、伝統的な盆栽の技術を現代のライフスタイルに合わせてアレンジしています。例えば、ミニ盆栽やデザイン盆栽など、インテリアとしても楽しめる商品を提供しています。また、若者向けのワークショップを開催し、伝統文化を身近に感じてもらっています。
成果と課題への回答
西岡はスライドを切り替え、売上とフォロワーの成長グラフを表示した。
「実際に、SNSを本格的に運用し始めてから半年でInstagramのフォロワーは5,000人を超えました。月平均で100名ほどがオンラインショップに訪れ、そこからの購入率は約10%です。また、ワークショップの予約も開始3日で満席になるようになりました。これは、明確に反応があると自信を持って言えます」
林尚弘は腕を組みながら頷いたが、少し厳しい表情で口を開いた。
林尚弘:「確かに反応はあるみたいだ。ただ、正直言ってまだ規模が小さい。これをどうスケールしていくつもりなんだ?」
西岡は一瞬間を置いたが、力強く答えた。
「大きな一手として、訪日外国人観光客をターゲットにした“1日盆栽体験”をインバウンド拠点で展開していきます。浅草、京都、鎌倉あたりにポップアップ型の盆栽スタンドを設置し、予約なしでも立ち寄れる形式にします。日本に来た記念に、自分で作った盆栽を持ち帰れるというコンセプトで、外国人からの関心は高いです」
この戦略には虎たちも明らかに反応した。
稲葉信:「それ、良い。外国人は“手作り体験”が好きだからな。SNSで“#MadeInJapan”を使えば自然に広がりそうだ」
細井龍:「ところで、資金の使い道をもっと具体的に教えてくれないか?その500万円、どこにいくら投資するのかが気になる」
西岡はあらかじめ用意した資金配分の資料をスクリーンに映し出した。
資金の用途(500万円)
浅草・京都の体験ブース初期設営費:250万円
SNS広告・インフルエンサー施策:100万円
商品開発(梱包材・初心者用盆栽キット):80万円
多言語対応のオンライン予約システム:50万円
予備運転資金:20万円
細井は資料をじっと見た後、口を開いた。
細井龍:「悪くない。むしろよく整理されてる。これは投資じゃなくて、“参加”したくなる内容だな」
虎たちの空気が一気に柔らかくなった。
しかし、次に口を開いたのはやや懐疑的な林だった。
林尚弘:「でも、1日体験って日本人の若い世代には響かないよね?インバウンド頼みだと波があるから、国内戦略も必要じゃないか?」
西岡は静かに頷いた。
「おっしゃる通りです。だからこそ、日本人向けには“ストレス解消 × 盆栽”というコンセプトで『マインドフルネス盆栽講座』を展開する予定です。これは心理カウンセラーと共同で開発中で、自然との対話を通じたメンタルケアとして提供していきます。リモートワークで疲弊した20〜40代の社会人に非常にマッチする内容です」
トモハッピー:「面白い。うちの社員にもやらせてみたいくらい。メンタルケア市場は伸びてるし、盆栽って意外にデジタル疲れの解毒になるかもな」
桑田龍征が、静かに口を開いた。
桑田龍征:「盆栽って、正直“古くさい”と思ってたけど…君の話を聞いて“時代が求めてる”気がした。ジャパネットじゃないけど、俺が通販手伝おうか?」
一同が笑い、西岡も苦笑した。
「それは心強いです。ありがとうございます」
出資決定の時
虎たちが順番に立ち上がり、出資の意思を表明していく。
細井龍:「50万、出す。SNSの話をもっと深掘りしたい」
稲葉信:「100万出す。外国人向け体験は面白い。協力できる範囲で手伝いたい」
桑田龍征:「150万出す。通販、絶対にやるべき」
トモハッピー:「50万だけど、今後の展開が楽しみだ」
林尚弘:「お前の事業、まだ粗削りだけど、信じたくなった。150万出す。ただし、半年後にKPI報告してくれ」
こうして、希望通りの「500万円」満額の出資が成立した。
まとめ:令和時代の盆栽は“進化”を求められている
今回のプレゼンでは、志願者・西岡悠太の「伝統文化を、現代の感性と市場に適応させる」姿勢が虎たちの共感を呼び、資金調達に成功した。特にSNS活用やインバウンド戦略、メンタルケアとの融合といった新しい切り口が評価された点は注目に値する。
日本の盆栽文化は、今まさに“令和の再定義”の時を迎えている。デジタル社会の中で心の安らぎを求める人々に対し、静かで深い癒しを与える盆栽。その価値を新しい形で提示できれば、日本の伝統は世界で再び花開くはずだ。
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